一般社団法人 日本整形内科学研究会

一般社団法人 日本整形内科学研究会

一般の方へ

一般社団法人日本整形内科学研究会は、「Fascia(ファシア)に関連した痛みなどの症状に対する診療・学術・教育・研究の発展」を主目的の1つとして活動をしております。

当会認定の治療施設に関しては、こちらをご参考下さい。

【要点(一般の方へ)】

  1. MPSとは何か?:筋膜性疼痛症候群(Myofasical pain syndrome, MPS[エム・ピー・エス])とは、いわゆる「筋のコリ」による症状をきたす、世界中で一般的な病気です。「筋痛症(きんつうしょう)」とも言われますが、MPSは「線維筋痛症」とは異なる病気です。(詳細はこちら Q3
  2. 治療法の名称:『ファシアリリース』という言葉を使っています。「筋膜≠ファシア」であり、我々は「筋膜リリース」という用語は原則使用していません。また、「ハイドロリリース」とは「液体でリリースする行為」ですので「筋膜リリース」とは異なります(詳細はこちら)。
  3. 診断:単純な筋膜性疼痛症候群(MPS)の場合ももちろんありますが、慢性的な病状の場合は、多くの場合はMPSを引き起こす基礎疾患や原因があります(詳細はこちら)。
    1. 単純なMPSの場合:典型的にはデスクワーク後の肩こりや運動後の筋肉痛・関節痛のように何らかの原因によって発症し、その原因を繰り返すことによって短期間での回復が難しくなった状態で、通常は痛みは局所に留まります。原因の除去や数回の局所治療によって徐々に改善する傾向にあります。
    2. 複雑なMPSの場合:1回の治療で数時間しかもたない、あるいは何回注射治療しても症状が戻ってしまう場合に複雑なMPSとして、基礎疾患(内科の病気、脳神経の病気、骨・関節の病気、耳鼻科の病気、精神・心理の病気など)や悪化因子(デスクワークの姿勢、心理的状態など)を評価します。また様々な病気にMPSは合併します。この場合でもMPSに対する治療で「ある程度」の症状緩和は得られる場合が多いですが、その基礎となる病気を一緒に治療することが重要となります。
  4. 治療:慢性的な症状の場合、上記3Bのような基礎疾患の評価治療はもちろんですが、痛みが全身に及ぶ場合や、原因の除去および治療で改善せずに痛みが進行する場合は、注射・鍼・マッサージなどの局所治療だけに囚われずに、局所(関節や筋など)と中枢(脳・脊髄、心理・不安)を総合的に治療することが重要です(詳細はこちら)。

整形内科とは?

メスを使った、いわゆる外科的な手術以外の治療方法(局所注射、運動療法、徒手療法、認知行動療法、薬物療法など)を用いて、医師・歯科医師やリハビリスタッフ・鍼灸師などの多職種で、手足腰などの体の痛みの治療を行う分野です。そして、”内科”ですので、痛みの原因だけでなく、その悪化因子(運動不足、生活動作、栄養状態、心理的状態など)にも必要に応じて対応すること目指しています。


診断方法

お医者さんの診断には2種類あります(詳細はこちら

  1. 医学的に厳密な評価に基づく診断名を付ける行為:医学的診断、つまり病態生理の解明を主旨とした行為です。具体的には、「どこに?(解剖学的部位:〇〇靭帯、〇〇関節)」、「何が起きている?(病態:炎症、断裂、腫瘍など」を説明できることです。
  2. 統計のために診断名を付ける行為:発生数や患者数を数えるために、どの地域に、どのような患者さんがいるのかをデータ収集することで、感染症の流行や、公害の発生の発見、保険診療の仕組み、日本の医療の実施状況の把握などに資料されています。

現代医学でも、上記1のような厳密な診断ができない病気がたくさんあります。たとえば、「むち打ち症」という名称は「ムチのように首をしならせた時に起きる症状」、「足首の捻挫」は「足首を捻って痛めた」という意味であり、上記2に該当します。

上記1の厳密な診断の例としては、「むち打ち症」ではなく、どこ(例:斜角筋)の病態(例:断裂、炎症)を見つけることであり診断名は「斜角筋断裂」となります。「足首の捻挫」は「距骨と腓骨をつなぐ靭帯(どこ))」の「断裂(病態)」を見つけることであり、診断名は「前距腓靱帯断裂」となります。変形性関節症は、「関節が変形している状態」と言っているだけで、実は「どこが痛いのか?」については今の医学では不明であるという表現になっています。

筋膜性疼痛症候群(MPS)/ファシア疼痛症候群(FPS)とは?

筋膜性疼痛症候群(MPS)とは、いわゆる「筋のコリ」による多様な症状をきたす、世界中で一般的な病気です。「筋痛症(きんつうしょう)」とも言われますが、「線維筋痛症」と間違わないでください。お医者さんでもMPSの存在を知らない人はまだたくさんいます。(Q3 参照

通常、我々が急激に重い物を持ったり、無理な姿勢など、その原因を繰り返すことによって短期間での回復が難しくなった状態で、通常は痛みは局所に留まります。筋への過剰な負荷は、いわゆる「筋肉痛」として生じ、数日程度で回復をします。長引いた場合でも、原因の除去や数回の治療によって徐々に改善します。しかし、負荷が繰り返したり、寒冷にさらされたり、血行の悪い状態が続いたりすると、筋が短期間では回復できなくなりなります。典型的にはデスクワーク後の肩こりや運動後の筋肉痛・関節痛があります。

この状態が筋膜性疼痛症候群(MPS)になった状態です。では一般的な筋肉痛とは異なり、痛みやしびれの強さが相当激しいものになり、更に痛みやしびれの範囲が広範囲に発生する傾向にあります。

ファシア疼痛症候群(FPS)とは、MPSを含む概念として、ファシア(筋膜、靭帯、腱、皮下組織など)の異常による症状を来す疾患群として当会JNOSが2019年に提唱したものです。筋膜は英語でMyoFascia(マイオ・ファシア)と言い、Fascia(ファシア)という関係性になります。


異常なFasciaによる症状

肩の痛み従来、症状があるのにレントゲンやMRIでは異常なしと言われた経験はありませんか?

もしかしたら筋膜性疼痛症候群(MPS)や、ファシア疼痛症候群(FPS)の可能性があるかもしれません。この病気は全身のあらゆるFasciaの異常で起きる可能性があります。

また、異常なFasciaの場所によっては、広い範囲で痛み、しびれを感じます。例えば以下のような例があります。


異常なFasciaの場所痛み、しびれが広がる部位
小殿筋(足の付け根付近)足の付け根から足首にかけての足全体
上後鋸筋(背中の肩甲骨付近)肩から指先まで腕全体
腰方形筋(腰の背骨付近)腰及びお尻の広い部分

また、痛み、しびれを感じる部位が、時間の経過と共に移動する事があるのも、この病気の特徴の一つです。


MPSやFPSが原因で生じる症状に、よく似た病気や症状

合併していることも多いですが、MPSなどのFasciaの異常が原因で生じる症状によく似た病気として以下があります。
注射、鍼、徒手(マッサージ)などの局所治療で、症状が直ぐに戻ってしまう場合については、以下Q4もご参考下さい

  • 頭や顔面:筋緊張性頭痛、偏頭痛、顎関節症、舌痛症など
  • 首や腕:頚椎症、頸肩腕症候群、胸郭出口症候群、五十肩、肩関節周囲炎、テニス肘、ゴルフ肘、手根管症候群、腱鞘炎など
  • 背中ゆ腰:椎間板症、椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、腰椎すべり症
  • お尻から足:仙腸関節症、変形性股関節症、変形性膝関節症、膝関節半月板障害、糖尿病性神経障害

また、異常なFasciaの部位により、以下のような症状がでたり、病名がつくことがあります。

  • めまい(非回転性)、動悸感、しびれ感、耳鳴りなど
  • 機能性胃腸症、胃けいれん、生理痛、排尿時痛、排便時痛・肛門痛など

単純なMPSと複雑なMPS

筋膜性疼痛症候群(MPS)を含むファシア疼痛症候群(FPS)による症状(痛み、しびれ感、めまい感など)の診断は複雑です。以下に示すように、単純なMPS/FPSの場合ももちろんありますが、慢性的な病状の場合は、多くの場合は、様々な病気と一緒に起こります

  1. 単純なMPSの場合:適切な局所治療(ファシアハイドロリリース、トリガーポイント注射・鍼、徒手治療など)が実施されれば、1回の治療効果は数日から1週間は持続し、数回から5回程度で改善することが多いです。原因となった部位の「使いすぎ(オーバーユース)」や「使わなすぎ(廃用)」の改善だけでも改善することも稀ではありません。1回の治療で数時間しかもたない、あるいは何回注射治療しても症状が戻ってしまうような場合は、「何らかの別の病気」にMPSが合併していると考えるのが重要です。
  2. 何かに合併したMPSの場合
    1. 内科の病気:脳神経の病気(例:脳卒中、脊髄症、糖尿病性神経障害、偏頭痛)、関節リウマチなどの病気(例:関節リウマチ、シェーグレン症候群、脊椎関節炎)、ホルモンの異常(例:甲状腺ホルモン亢進症/低下症、副腎皮質ホルモン不足)、ミネラルやビタミンの不足(例:鉄欠乏、低カリウム血症、低マグネシウム血症)
    2. 運動器の病気:頚髄症、腰部脊柱管狭窄症、椎間板ヘルニア、手根管症候群、変形性膝関節症など
    3. 耳鼻いんこう科の病気:慢性副鼻腔炎、内耳性難聴、顔面神経麻痺など
    4. 精神・心理の病気:うつ病・うつ状態、統合失調症、パニック障害、不安神経症など

治療方法

治療方法の名称について「◎ファシアリリース」「△ 筋膜リリース」

当会の方針に基づき本手技を実施している治療者は、「fasciaに対するエコーガイド下ハイドロリリース(エコーガイド下fasciaハイドロリリース)」「エコーガイド下鍼治療(エコーガイド下鍼刺)」などの用語を用いており、総じて『ファシアリリース』という表現を使用しています

「筋膜≠ファシア」であり、我々は「筋膜リリース」という用語は原則使用していません。また、「ハイドロリリース」とは「液体でリリースする行為」ですので「筋膜リリース」とは異なります(詳細はこちら)。最近テレビや雑誌で「筋膜リリース」という言葉をよく耳にすることがあるかもしれません。情報が混乱していますので、私たちは一般の方々にも誤解のないようにFasciaという言葉を正しく理解していただきたく啓蒙させていただいております。

治療方法の紹介(導入)

  • MPSやFPSに対する治療方法は、まだ十分に確立された状態とは言えません。
  • 基本的には、局所治療、運動療法、認知行動療法が治療の中心であり、薬物療法は限定的に使用されます。特に、非癌性疼痛患者さん(がんではない慢性疼痛の患者さん)への “安易な”オピオイド(モルヒネの類)や抗うつ薬などの向精神病薬の使用は、世界中で注意喚起がされています(適切に管理され良好な治療経過の患者さんもいますが)。もちろん、がん患者さんの痛みや苦しみを緩和するためのオピオイドは十分量が早期かつ適切に使用される必要があります。
  • 痛みが全身に及ぶ場合や、原因の除去および治療で改善せずに痛みが進行する場合は、単純なMPSではなく、複雑なMPSを考えます。
    • 単純なMPS/FPSであれば、1回の治療で数日以上、合計5回程度の治療で改善することが多いです。改善しない場合は、以下を総合的に検討します。
        1. 治療部位の再検討
        2. 悪化因子の評価・治療(膝が痛い場合には足首や股関節の治療、肩が痛い場合には頚部や肘の治療など)
        3. 別の病気にMPSも合併(Q4参照
        4. 心理的な状態(不安、うつ状態などの心因的な要素)を慎重に検討する必要があります。、
    • 複雑なMPS/FPSの場合など、MPS・腱鞘炎・関節炎などの局所の症状と、心理・社会が影響する脳の症状は、慢性的な症状であれば殆どの場合共存しています。
        1. 病気の局所治療だけに囚われずに、局所(関節や筋など)と中枢(脳・脊髄、心理・不安)の両者を治療することが重要です。
        2. 西洋医学的内服薬、漢方薬、運動療法、認知療法、もちろん局所治療もですが、患者さんの病状に合わせて、どの治療をどのように使用していくのかを、プランニング(設計)していくのが、疼痛治療において重要です。

発痛源と悪化因子の関係

治療手技の紹介

局所治療は、現時点では、治療法は直接法と間接法の二つに大きく分けることができます。そして、どちらか一方だけを行うのではく、組み合わせて行われること理想的です。

直接法(例:エコーガイド下Fasciaリリース[ハイドロリリース、鍼、徒手など])

直接法は、痛みの原因になっている異常なFasciaに生理食塩水や局所麻酔薬を注射したり、鍼、徒手(手技)などを用いて直接病変部にアプローチして、Fasciaの異常な状態を解消する方法です。なお、これらの治療は痛みもほとんど無く、安全性も高い方法です。

注射によるエコーガイド下Fasciaリリースを、国内ではfasciaに対するエコーガイド下ハイドロリリース(エコーガイド下Fasciaハイドロリリース)とも表現します。ハイドロリリースという言葉が生まれた背景はこちらをご参照ください。

当会では、超音波診断装置(エコー)を使って、異常なFasciaに対して、エコーガイド下Fasciaリリースをより安全・確実に解消を行う技術の研究と研鑽を行っております。また、患者自身もエコー画像を見ることで、自身の病変部を認識し、リハビリテーションや運動療法、さらには認知行動療法にも繋がるように活用しています。

間接法(例:リラクゼーション・認知療法、ある種の鍼・徒手)

病変部を直接治療せずとも、病変部に影響するFasciaや関連組織を十分にリラックス(リラクゼーション)させることで、病変部から生じる痛みを緩和することもできます。これを間接法といいます。

ある種のリラクゼーション・テクニックを使った徒手治療や、経絡鍼治療(ツボへの治療)なども含みます。

また、認知療法としての不安の除去による効果は、全身の緊張緩和、あるいは病変部からの痛み刺激の脳の感じ方に影響し、症状緩和に寄与します。



治療の期間

通常はある程度の回数を、時間をかけて治療する必要があります。

単純なMPSでは、数回から5回程度の治療で軽快することが多いです。一方で、局所の癒着等の頑固な病状の場合、症状が強く日常生活が困難な痛みがある場合は数ヶ月にわたる治療を必要とする場合もあります。

しかし、他項でも記載しました通り、悪化因子や基礎疾患がある場合は、そちらへのアプローチも一緒に行うことが非常に重要です。

患者さんの病態に応じて、上記の様々な手法を組み合わせて治療することが重要ですが、最適な組み合わせは、まだ十分に分かっていません。


Q&A

Q1 私は現在近所の整形外科に通院していますが、私の症状と全く同じなのですが、どういうことですか?

A)症状は同じように思えても、医学的な診察では別の症状であることも稀ではありません。

MPSが原因で生じる症状によく似た病気が多いのも事実です。

一方で、MPSを疑う症状でも、別の病気(関節リウマチ、帯状疱疹、偏頭痛、薬物乱用性頭痛など)が診断されていないだけのことも稀ではありません。

Q2 変形性膝関節症と診断されていますが、MPSの可能性もあるのでしょうか?

A) 変形性関節症という病気は、「関節が変形している状態」という病名であり、変形していること、あるいは軟骨がすり減っていること、と痛みとの関係は十分に分かっていません。

関節が変形することで、滑膜炎など関節の中に炎症(腫れ上がっている状態)が起きている場合は、膝関節炎(膝関節の炎症)という病名が別につき、痛みの原因となります。その他にも、骨の変形により負担が強くなったスジ(腱や靭帯など)や筋(MPSなど)の痛み、関節の近くにある神経の痛み、稀に軟骨の下の部分の骨の痛みなどがあります。これらの痛みの原因はいくつも同時に存在することもありますし、人によってその割合や進行度合いが異なります。そのため、痛い場所の丁寧な診察はもちろんのこと、必要に応じてレントゲン写真・エコー・MRIなどの画像評価が必要になります。スジや筋や神経の痛み占める割合が大きい変形性関節症に対しては、Fascia リリースを行うことで痛みの軽減が期待できます。一方、痛みの原因の割合が滑膜炎である場合が大きく占めている場合には、関節内に適切な薬液を注射してもらったりすることで、痛みがより和らぐ可能性があります。

このように、構造の変形(例:変形性◯◯、◯◯狭窄症)を示唆する病名と、MPSなどのFasciaに関連した症状はよく合併します。一緒に生じていますので、関連した全ての病気に適切に対応する必要があります。

Q3 線維筋痛症と筋膜性疼痛症候群(MPS)は同じですか?

A)両方とも「筋痛症(きんつうしょう)」と呼ばれることもあり、混同されやすい病気です。

MPSの重症化したものは線維筋痛症とも言われる場合もありますが、線維筋痛症は「脳が何らかの原因で敏感になってしまった状態」のことであり、MPSは「手足や体の筋のコリなどによる症状」のことです。

しかし、多発するMPSによる痛みなどの症状は、脳を慢性的に刺激し脳を敏感にさせてしまうという報告もされています。そのため、MPSと線維筋痛症の境界は現時点でも議論されています。

ただし、MPSの場合は、全身で同時に痛み、しびれが発生することは基本的には無く、片肩、首、腰、片足など特定の部位、若しくはその複数の部位の組み合わせで発生をします。

先にも説明しましたとおり、単純なMPSであれば、1回の治療で数日以上、合計5回程度の治療で改善することが多いです。改善しない場合は、1)治療部位の再検討、2)別の病気にMPSも合併、3)心理的な状態(不安、うつ状態などの心因的な要素)を慎重に検討する必要があります。、

Q4 MPSと診断されました。でも、注射、鍼、徒手(マッサージ)で数日は楽なのですが、その後元に戻ってしまいます。どうしたら良いのですか?

A) 効果が一時的には、以下のような様々な原因がありますので、担当医・治療者におたずね下さい。内科領域の精密検査が必要になることも多いです(だからこその”整形内科”です)

  • 注射部位が正確ではない。
  • 原因部位(発痛源)の重症度が高い。長年の病態のため、fasciaや組織の変性が強い(例:滑りが悪い、硬い)
  • 痛みの原因(悪化因子)が解消されていない。悪化因子には、運動・体操不足、姿勢の影響、生活動作の影響、心因的な状態からの影響などがあります。
  • 基礎疾患により、二次的なfasciaの異常やMPS、または筋緊張亢進等が起きている。
    例1:関節リウマチなど炎症性疾患。リウマチ因子が陰性の関節リウマチも多いため、血液検査だけでリウマチではないとは言えず、かならず関節のエコー検査が必須です。
    例2:ビタミン、ミネラルの不足(ビタミンB1欠乏症【脚気】、ビタミンD欠乏症、鉄欠乏症、低カリウム血症、低カルシウム血症など)
    例3:脳神経の病気(パーキンソン症候群、ジストニア、脳梗塞後遺症、脊髄炎、多発性硬化症など)。脊髄炎は、単純MRI(造影剤を使用しないMRI)撮影では分からないことも稀ではありません。
    例4:ホルモンの病気(甲状腺機能低下症、副腎機能低下症、男性更年期障害、女性更年期障害、副甲状腺機能低下症など)
    例5:整形外科的基礎疾患がある(”本物の” 椎間板ヘルニアによる神経傷害、頚髄症など)

上記にも記載しました症状のいずれにおいても同じ考え方になります。このような場合でもMPSやファシアに対する治療により「ある程度」の症状緩和は得られる場合も稀ではありません。治療効果が乏しい場合、上記の要素を都度検討し、多角的に治療を進めていくことが重要となります。

Q5 体中が痛いです。できるだけ内服薬は飲みたく在りませんし、心のせいにもされたくありません。局所治療だけで治りますか?

A) 自然療法、民間療法、含め様々な代替療法が世界中に存在します。これらを否定するものではありませんが、まずは「標準的な治療」を受けることを推奨します。

  • 慢性的な痛みの治療は、身体・心理・社会(BPSモデル)に基づき対応するのが国際標準です。
  • MPS・腱鞘炎・関節炎などの局所の症状と、心理・社会が影響する脳の症状は、慢性的な症状であれば殆どの場合共存しています。
  • 病気局所治療だけに囚われずに、局所(関節や筋など)と中枢(脳・脊髄、心理・不安)の両者を治療することが重要です。
  • 西洋医学的内服薬、漢方薬、運動療法、認知療法、もちろん局所治療もですが、患者さんの病状に合わせて、どの治療をどのように使用していくのかを、プランニング(設計)していくのが、疼痛治療において重要です。

Q6 ファシアリリースで私の症状は必ず治りますか?

A)「〇〇をすれば、必ず治る」という文言は、誠実な医療者・治療家は使用しません。

人の身体も心も現在の医学では、いまだに分からないことだらけです。「唯一の〇〇」「必ず」という表現ができるほど医学は完成された学問ではありません。このような文言で患者さんを誘導し、受診や訪問を勧める「悪質な」団体や人は未だに多く、社会問題となってります(消費者被害は医療分野だけでなく、あらゆる分野で多発しています)。これらの表現は景品表示法はもちろん、医療広告ガイドラインでも禁止されています。消費者庁も注力しており、医療機関や施術所、サプリメント販売など含め、医療機関通報パトロールも整備が進んでおります。

なお、当会の入会審査では、景品表示法や医療法・医師法、医療広告ガイドラインの遵守など、「医療者としての誠実性」を入会審査基準に設定し、会員の質の担保に努めています。