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一般社団法人 日本整形内科学研究会

医療関係者へ

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  • 一般社団法人 日本整形内科学研究会は、Fascia(後述)に関係する運動器疼痛および難治性疼痛における診療・学術・教育・研究の発展を一つの主目的として活動をしております。
  • 特に近年では、超音波画像診断装置を用いてFasciaの異常を確認して、それを解消する診療技術についての研究を進めています。

Contents


整形内科学とは?

整形内科学の定義

当会では、整形内科学を「一般に手術によらない方法での運動器疼痛および難治性疼痛の診療とその研究を行う医学の一分野」と定義しました。

Q&A

Q1 整形内科ってリウマチ内科のこと?

前述の定義の通り、非外科医 Non-surgeonが運動器疼痛や難治性疼痛を扱う分野です。

関節リウマチは膠原病内科、骨粗鬆症は内分泌内科、難治性疼痛は麻酔科、心身機能改善はリハビリテーション科、皮膚・皮下腫瘤は皮膚科・形成外科が学問的中心ですが、外来疼痛患者に係る周辺領域を横断的かつ相補的に多職種でマネジメントしていくことを目指しています。

Q2 運動器内科ではなくて、なぜ整形内科なの?

一般的な運動器の定義は、「身体運動に関わる骨・筋肉・関節・神経などの総称」です。

近年、皮膚運動学、Fasciaなど結合組織自体の運動能や情報伝達性・ネットワーク性など、従来の運動器の定義に含まれない組織も、疼痛治療には重要とされています。

また、「日本語の整形外科」の命名は、orthopaedicsではなく、Jacques Delpechが定義した”orthomorphie”の概念のもとに、orthopädische Chirurgieの訳語として生まれました。

そして、「整形」の言葉は故田代義徳先生に始まります整形外科「包帯具師整形術と体操的形成術と外科的整形術とレントゲン学(画像診断学)の四学派の連合による産物」の意を基本とし、このうち外科的整形術を除く範囲(現代で言うところの運動体操、生活指導、超音波診断装置(以下、エコー)などの画像評価、局所治療)をNon-surgicalに扱う分野として「整形内科Non-surgical orthopedics」としました。

Q3 整形内科の診療範囲は?

運動器疼痛や難治性疼痛をNon-surgicalに診療していくための手法すべてを用います。

一方、局所注射などのIntervention技術、運動療法、徒手療法、認知行動療法、薬物療法など各治療者の得手不得手がありますので、個人の診療技術の範囲で実施することは、他の診療分野と同じです。

なお、他科と診療分野がオーバラップしていることは周知であり、誰が扱うかは患者の利便性、診療の包括性、近隣医療機関との関係性を含めて扱う問題であり、単純に「私の診療技術の範囲」で決定しない事項と思います。

Q4「内科」でも局所注射するの?

かつては、内科医は内服薬で、外科医は手術で治すものでしたが、医療技術の進歩により、近年の「内科医physician」は内視鏡手術やカテーテル治療、エコー・CTなどを用いた画像下Interventionも扱います。以上から、本研究会では「内科」の言葉をNon-surgical treatmentを扱う意を基本としました。

この活動を可能にした代表的な機器が、エコーです。適切な学習を経れば多職種が、各治療手技(注射、鍼、徒手、物理療法など)を機能解剖学的に共通理解できるようになりつつあります。

なお、いわゆる”内科”の一般的な翻訳である「Internal medicine」は本来「内服薬」の意味であり、”内”の意味はありません。Surgeryの語源はChiurgia(手で仕事をする)であり、”外”の意味はありません。

英語での定義は、内科医がPhysicianで、外科医はSurgeonですが、そこにも”内”や”外”の意味はありません。内科と外科の言葉は「内治」と「外治」という中医学の言葉に由来しています。

Q5 日本の整形内科と海外のNon-surgical orthopedicsの関係は?

消化器科が消化器内科と消化器外科で構成されているように、海外ではOrthopedics部門がSurgical部門とNon-surgical部門に分離してきています。

一方、日本の「整形内科」の発祥の元は、多職種の総力をあげて、社会背景の変化に対応して急増する疼痛患者を、内科医(外科医でない医療者)がケアしていく活動に始まりました。その成果物の1つが、書籍・THE整形内科(南山堂2016)です。

なお、海外ではエコーは放射線科Radiologyが検査室で主に扱う機器です。

日本のようにPhysicianが「エコー診療」のように活用するという文化は、世界でも稀有であり日本の強みでもあります。

Q6 Fasciaを中心に扱っているのはなぜ?

運動器疼痛や難治性疼痛を扱う学術団体は多いですが、日本でFasciaを中心に扱っている学術団体はありません。

現在、Fasciaに係る学問領域は、西洋医学・東洋医学・代替医療などの多様な医学体系の、あるいは手術・関節鏡・注射・鍼・徒手・物理療法・運動療法などの多様な治療手技の包括的理解を促すための新たな分野として注目されています。

整形内科では、局所治療、運動療法、生活動作指導、薬物療法、認知行動療法などの多様な治療手技を多職種で相補的に扱います。

その中でも「Fascia」を従来の西洋医学と論理的に統合し、医学のさらなる深化を目指しています。

Q7 前MPS研究会との関係は?なぜFascia研究会にしなかったのか?

MPS研究会発足当時は、筋膜への国内の医学的および社会的な注目が少なかったため、「MPS」を前面に出していました。

そのため、筋膜性疼痛症候群(MyoFascial pain syndrome, MPS)の中心組織である筋膜MyoFasciaに焦点を当てていましたが、近年のその治療対象は筋膜だけでなくFasciaと拡張していること、および「整形内科」という活動の一部としてFasciaを扱うことが本分野の建設的な発展に寄与すると考えたためです。


Fasciaとは?

Fasciaの定義は国際的にも議論中ですが、当会では、「筋膜Myofasciaに加えて腱、靱帯、神経線維を構成する結合組織、脂肪、胸膜、心膜など内臓を包む膜など骨格筋と無関係な部位の結合組織を含む概念であり、その線維配列と密度から整理される」を採用しています。

つまり、肉眼解剖的に剖出可能な「固有結合組織の線維成分」あるいは「線維性結合組織の総称」とも表現できます。

Fasciaの語源は、1560年台のラテン語のFasciaとされています(参照:外部リンクEtymology online)。

当時の意味は、バンド、リボン、包むもの、束などの形態表現でした。

15世紀前半にmembraneが解剖学的意味でthin layer of skin or tissue(皮膚や臓器を包む薄い膜)で使用されました。

Fasciaは歴史的には1788年に解剖用語として初めて記述され、1895年のBasle Nomina Anatomica(BNA)で採用後、1977年のNomina Anatomica. 4th ed(NA4)まで細分化されることなく使用されていました(Surgical and Radiologic Anatomy 1998)。

日本解剖学会・解剖学用語委員会編集による「解剖学用語改訂13版(2007)」では、Fasciaは筋膜と訳されているものの、Fasciaの訳語にまつわる注釈は約1ページに及ぶ検討結果が記載されています。

 

Fasciaの定義は国際的にも議論中であり、主要な定義候補は以下の2つです。

(1)定義A:筋膜Myofasciaに加えて腱、靱帯、神経線維を構成する結合組織、脂肪、胸膜、心膜など内臓を包む膜など骨格筋と無関係な部位の結合組織を含む概念であり、その線維配列と密度から整理されます。

(2)定義B:鞘、シート、あるいは剖出可能な結合組織の集合体で、裸眼で肉眼的に確認可能な程の大きさがあります。そして、Fasciaは皮膚と筋の間(皮下組織)、筋周囲、末梢神経と血管をつなぐ、それら関連構造をも含みます。

神経を例にしますと、「神経=神経線維+結合組織(神経鞘、神経上膜など含む)」です。

つまり、神経に関しては、定義Aでは神経を構成する全ての結合組織もFasciaに含めますが、定義Bでは神経を構成する結合組織は最も外層である神経鞘・神経上膜以外はFasciaに含みません。また、筋に関しては、定義Aでは筋内膜や筋周囲膜も含みますが、定義Bでは筋外膜のみがFasciaに含まれます。

しかし、神経を構成する結合組織とその周囲組織(筋外膜や血管)は解剖学的に連続しており、また筋を構成する結合組織においても筋線維と筋膜も解剖学的に連続しており、その境界を客観的に同定することは極めて困難な状況でもあります。

これは、靱帯・腱・関節包などでも同様な論理構造となっております。筋の付着部と関節包を構成する線維群は解剖学的に連続していることがマクロ解剖・ミクロ解剖の両者で指摘されています。Fasciaと自由神経終末と毛細血管の関係性も解剖学的・生理学的に解明されていません。

 

現在、上記2種のFasciaの定義を融合させるための議論が進んでいますが、未だに統一見解には至っておりません。

2018年4月時点で当会では、定義Aを採用しています。書籍「THE整形内科(南山堂 2016)」では、この定義Aと同様の意味で「“いわゆる”線維性結合組織(以下、結合組織の項目参照)」と表現しています。

書籍「無刀流整形外科(日本醫事新報社 2017)」、書籍「Fasciaリリースの基本と臨床(文光堂 2017)」でも同様の定義を採用しています。現在、Fasciaの定義に関してはInternational Fascia Research Congressと国際解剖学会間でも議論が進んでいます。

結合組織とは何か?結合組織≠Fascia(ファシア)

結合組織は、ミクロ解剖では細胞成分・線維成分・基質で構成され、マクロ解剖では特殊結合組織(例:血液、骨、軟骨)と固有結合組織(例:疎性結合組織、密性結合組織)に大別されます。そのため、局所治療(ハイドロリリース、鍼、徒手)の対象として「結合組織」と表記することは時に誤解を招きます。

Fasciaを「固有結合組織の線維成分」あるいは「線維性結合組織の総称」とした場合、Fasciaリリースは物理的なFasciaへの刺激(2次的な基質への刺激を含む)を、ハイドロリリースはFasciaと相互関係の深い基質への影響をも考える必要があります。とかく、その治療対象(あるいは研究テーマ)としての名称に振り回されず、眼前の解剖と臨床現場の現象に注視し、適切に表記することが大切です。

歴史的には、結合組織Connective Tissue(CT)という用語は、1830年にJohannes Peter Müllerにより紹介され、1839年に正式に解剖用語として採用されました。

伝統的な分類における3組織(上皮組織、筋組織、神経組織)に該当しない組織のすべてを含む大きな未分化カテゴリーでした(そのため、「結合組織」という概念自体が、時代とともにその定義や範囲が変化する類の概念という位置づけなのです)。

そして、結合組織は、構造の支持に寄与し、多くは中胚葉に由来し、不活性な組織と理解されてきました。

 

近年、代表的な結合組織の1つである「脂肪組織Adipose tissue」自体の機能が注目されてきました。

脂肪組織は、人体で最大量のサイトカインadipocytokinesを産生・分泌し、炎症や免疫に関与することが、内科領域では1993年から報告が相次いできました(Nature Reviews Immunolog.y 2006)。

例えば、心外膜脂肪は炎症物質などサイトカインを産生・分泌し冠動脈や心筋の動脈硬化や心房機能に影響を与え(American heart journal. 2007)、「腸間膜(脂肪細胞の機能含め)」自体が独立臓器としての機能が報告され(The lancet Gastroenterology & hepatology. 2016)、グレイ解剖学にも掲載されました。

一方、結合組織の一部は神経堤細胞などの外胚葉組織由来の組織も含み、神経との関連性も推察されており、前述の如く解剖学的にも結合組織と3組織(上皮組織、筋組織、神経組織)との境界も未だに議論が続いています。

 

このように、結合組織の生体における新たな役割が発見されています。

Fasciaという観点でも同様であり、その代表格である筋膜Myofasciaは「保持、パッケージ」などの構造保持機能に加えて、「刺激への侵害受容(外部リンク)や深部感覚の伝達(外部リンク)などにも寄与していること」が判明しました。

現状、ミクロ解剖としての結合組織は細胞成分・線維成分・基質に分類されます(Connective Tissue Study Guide,  A Textbook of Histology,12th Ed.)。

当会では、Fasciaはあくまで細胞外の結合組織の線維成分と理解していますが、海外のFascia研究グループの中には、細胞内マトリックスの線維成分もFasciaであると主張するグループも存在します。

1) 細胞成分(例:線維芽細胞fibroblasts, 脂肪細胞adipocytes, マクロファージmacrophages)

2) マトリックスmatrix:細胞外マトリックス(Extracellular matrix, ECM: 細胞外高分子で形成される3次元ネットワークで、マクロ解剖の「間質」とほぼ同義)、細胞内マトリックス(Intracellular matrix: ICM)の2種類がある。
2-1) 線維成分fibers(例:コラーゲン線維collagen fibers, 弾性線維elastic fibers, 細網線維reticular fibers,)
2-2) 基質ground substance(上記細胞成分等から分泌産生。体液Body waterの一部としても扱われる。)

注)体液Body water:生体内の流体body fluidsとして、細胞内マトリックスの流体、細胞外マトリックスの流体(=細胞外液)、間質液(細胞外液のうち血液とリンパ管の中を流れるリンパ液を除く体液)、消化液、胸水、腹水、脳脊髄液、眼房水などを含む。脂肪組織は10%程度、筋組織は75%程度が水を含むと言われている。

一方、マクロ解剖としての結合組織は、以下に分類されます。(議論中であり、統一見解はありません。例えば、特殊結合組織に血液は含まれず、あくまで体液に含まれると指摘する研究者もいます)

1)特殊結合組織Special connective tissue:軟骨、骨、血液、リンパ組織などが含まれる。

軟骨cartilageはtype Ⅱ collagenで、骨boneはType III collagenで、リンパ組織lymph tissue(リンパ節lymph node/脾臓spleen/肝臓liver)は細網線維Reticular fibersで、主に構成されている。

2)固有結合組織 Proper connective tissue:細胞成分、線維成分、基質で構成される。

→固有結合組織は密度で分類される(ミクロ解剖ではその境界は不明。伝統的にマクロ解剖で分類される。)

・疎性結合組織Loose connective tissue(細胞・基質が比較的多く、線維が少ない)。例:脂肪組織、狭義のFascia、筋膜Myofascia

・密性結合組織Dense connective tissue(線維が多く、細胞と基質が比較的少ない)。例:弾性結合組織Elastic tissue(例:大動脈壁、脊椎の黄色靭帯)、筋膜Myofascia、腱膜Aponeurosis (deep fasciaの一種という意見もある)。

補足:筋膜Myofasciaに関して、「疎性線維性結合組織としての筋膜は筋の起始停止部になれないが、密性線維性結合組織としての筋膜は筋の起始停止部になれる。」という大まかな特徴を有する。

密性結合組織は、さらに線維方向の種類で分類されます。

・Regular: 線維方向が正(例:靱帯Ligament)

・Irregular:線維方向が不正(例:皮膚 Dermis)

また、密性結合組織のうち、コラーゲン線維よりも弾性線維を多く含むものを弾性結合組織と呼称する。

 

線維性結合組織Fibrous connective tissue(例:皮膚dermis、腱tendon、靱帯ligament、筋膜Myofascia、骨膜periosteum)という用語の代表的な意味は、密性結合組織と同義だったり、「線維芽細胞を中心とした細胞成分と、ある程度大きなコラーゲン線維(type 1 collagen)の塊であり、その基本的な特徴は強い張力と柔軟性にある」だったり、固有結合組織の線維成分を意味したりと、その定義は一定しません。

一般的に、結合組織(CT)と言うと固有結合組織のことを指し、一方で血液・軟骨・骨などは「特殊結合組織」と呼称する傾向にありますが、「結合組織への注射」という表現は厳密には「血液への注射」も含んでしまうため、特に内科医や基礎研究者には誤解される傾向にあります。正確な議論のためには「固有結合組織」または「線維性結合組織」への注射、あるいは「fascia(ファシア)」への注射という表現が望ましいものと考えます。

上記定義AのFasciaは「細胞外マトリックスの線維成分で構成される固有結合組織。顕微鏡レベルの構成体も含む」、上記定義BのFasciaは「裸眼で肉眼的に確認可能な程の大きさを有する固有結合組織の線維成分」という表現が現状は最も近いかもしれません。

線維成分としてのFasciaと細胞外マトリックス(ECM)としての基質は、お互いにその機能を補完し合う重要な関係です。Fasciaを「固有結合組織の線維成分」あるいは「線維性結合組織の総称」とした場合、Fasciaリリースは物理的なFasciaへの刺激(局所の血流増加は基質への影響もありそうですが)を、ハイドロリリースはFasciaへの刺激に加えて基質への補液という影響も考える必要があります。

とかく、その治療対象(あるいは研究テーマ)としての名称に振り回されず、眼前の解剖と臨床現場の現象に注視し、適切に表記することが大切です。(参照:新しい言葉の選択とその注意点)。

Fasciaを適切に示す日本語はない。

Fasciaの適切な日本語訳は現時点ではありません。そのため、当会では英語で「Fascia」あるいはカタカナで「ファシア」と表現しています。

本邦ではFasciaは「筋膜」、時に「膜」と訳されてきた経緯があります。一方、Fasciaの意味で「筋膜」と表現されている場合もあります。医学用語としては、筋膜は「Myofascia」、膜は「Membrane」です。

日本解剖学会の解剖学用語改訂13版には、Fasciaは筋膜Myofasciaを超えたものと説明されており、整形外科学会の整形外科学用語集(第8版)では「筋膜、あるいは腱膜」という言葉があてられています。

建設的な議論を進めていくためにも、言葉の定義を厳密に確認することが極めて重要になります。

世界保健機関(WHO)が2018年6月に公表した国際疾病分類の第11回改訂版(ICD-11)にFasciaという用語が正式な体組織の用語として記載されました。

そこには、「加盟国は、分類の翻訳など自国での適用へ向けた準備を開始することが期待されており、2019年5月世界保健総会へ提出される予定です。今後、我が国への適用に向けた検討をしてまいります。(外部リンク)」と示されており、当会としましても適切な訳語制定にむけて活動を進めております。

Fasciaの異常とは?

Fasciaの定義が議論中であるのと同様に、「異常なFascia」の定義もまた、世界的に見ても定まっておりません。

西洋医学における診断の定義(解剖:Anatomy、病態:Pathology、原因:Etiologyの三要素を説明できる疾患)で、あえて表現すれば、以下になると考えています。

解剖: Anatomy:Fascia

病態: Pathology:疼痛閾値の低下(過敏状態 Hypersensitivity)

原因: Etiology:現時点では不明。Overuse, Disuseが契機になることが多い。

機能解剖的には、組織の伸張性低下、組織間の滑走性低下が示唆されており、これらは超音波診断装置(以下エコー)でも評価可能です。また、Fascia同士が癒着adhesion/cohesionしている現象も報告されています。

一方、エコー画像上は、静止画としては「帯状の高輝度(白い)」に観察される傾向にあります。

高輝度に見えるのは「画像処理上の反射特性」であり、異方性の場合は低輝度、また内部密度が均一の状態(一部の線維化)でも低輝度に観察されることがあります。

局所病態として疼痛閾値低下という要因から表現すれば、「pHの低下」、「炎症や血流増減、異常血管(毛細血管を含む)」、「疼痛物質の局所濃度増加」、「末梢神経(自由神経終末を含む)の過敏性」、「Fasciaを構成するコラーゲン線維自体のなんらかの異常」などが考えられています。

前述のように、マクロ解剖・ミクロ解剖の両者で、Fasciaと自由神経終末と毛細血管は分離困難であることが現時点では示唆されており、その病態は複合的であり解明が急がれています。

現状では、Fascia自体に焦点を当てて研究を進めるグループ以外にも、局所としては「靱帯Ligament, 筋膜Myofascia、神経Nerve(自由神経終末を含まない末梢神経)、自由神経終末、血管(特に細動脈)、毛細血管など」、全体としては「中枢-末梢連関、大脳・脊髄過敏性など」の各テーマに焦点を絞って研究を進めるグループがあります。

また、関節鏡手術、注射、徒手治療、鍼治療、物理療法、運動療法などに介入方法に焦点を当てた研究グループもあります。

その中で、各グループが扱う言葉の定義が一致していないために、建設的な議論が妨げられてしまっている現状もあります。今後は、共通の言葉を元に、各グループ同士の横断的かつ建設的な議論が重要になってくるでしょう。

Fasciaの癒着とは?

Adhesion(癒着)には接着強度の概念は含みません。

Adhesionは「異種組織間の癒着」を、Cohesionは「同組織間の接着」を意味します。

一般的な医師にとっては”癒着”といえば強固な線維性構造であり鉗子等で剥離する強度のものというイメージが強いのですが、本来「癒着」という言葉の定義に、その「強度」は含まれていません。

癒着の日本語の元は、Adhesion(癒着、接着、密着性)ですが、Adhesionの定義は「異種組織間・臓器間」の接着です。また、同様の用語にCohesionがありますが、これは同組織間の接着です。現時点でCohesionの医学用語はありませんが、Fascia同士の癒着に相当する用語はCohesionが適当かもしれません。

また、前述のように、細胞外マトリックスの基質(例:ヒアルロン酸など細胞間に存在し、癒着・接着に関わる因子)がFasciaと相互作用した結果、癒着/接着する場合もあれば、線維芽細胞の活性化により疎性結合組織が密性結合組織に近づいた局所病態も癒着/接着と呼ばれます。

今後、新しい用語を作成するなど含めて、協議する必要がある用語になります。

異常なFasciaによる症状とは?

疼痛あらゆるFasciaの異常で起きる可能性があります。

また、異常なFasciaの場所によっても異なります。広い範囲で症状(広い範囲の関連痛)がでやすい部位、神経近くのFasciaの異常は「しびれ感」を生じる傾向にありますが、一定はしません。

例えば以下のような例があります。

異常なFasciaの場所 痛み、しびれが広がる部位
小殿筋(足の付け根付近) 足の付け根から足首にかけての足全体
上後鋸筋(背中の肩甲骨付近) 肩から指先まで腕全体
腰方形筋(腰の背骨付近) 腰及びお尻の広い部分

異常なFasciaが原因で生じる症状によく似た病気、あるいは合併している病気は?

既存病名に合併していることも多いですが、MPSなどのFasciaの異常が原因で生じる症状によく似た病気として代表的には以下があります。

頭部・顔面部 筋緊張性頭痛、偏頭痛、顎関節症、舌痛症、三叉神経痛、顔面神経痛(顔面神経は知覚神経ではありませんので、本来この病名はありません)、頚性めまい、耳鳴り
頚部 慢性咽頭炎、嚥下痛、頚椎症、頸肩腕症候群
肩部・上肢 胸郭出口症候群、五十肩、肩関節周囲炎、テニス肘、ゴルフ肘、内側側副靱帯損傷、手根管症候群、腱鞘炎
胸部 乳癌術後疼痛症候群、心臓神経症、動悸感、開胸術後疼痛
腹部 機能性胃腸症、過敏性腸症候群、胃けいれん
背部・腰臀部 椎間板症、椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、変形性脊椎症、腰椎すべり症、坐骨神経痛
下肢 変形性股関節症、変形性膝関節症、半月板障害、糖尿病性神経障害

発痛源 Source of painとしての異常なFasciaの見つけ方は?

現時点ではエコーだけで検索することはできません。

エコー画像上、白く帯状に高エコー領域(我々は、Fasciaの重積と表現しています)として描出される傾向にあると提案しています。しかし、この所見の感度は高いが、特異度は高くない(検証中)傾向にあります。

症状・病歴、身体診察から、ある程度の場所を絞ることが重要です。圧痛所見のみで検索するのも、診療効率は良くありません。

触診の技術によっても圧痛検出の有無は変わりますし、部位によっては圧痛所見自体がでにくい場所もあります。

例えば、腰部のLaphe(腰方形筋・長肋筋・大腰筋の間で胸腰腱膜の一部)は、深部に骨などの固い部位がないので、圧痛所見は殆ど出せません。また、腱や靭帯などは圧痛閾値が非常に高いので、触診レベルの圧痛強度では痛みがでません。

鍼や注射をして初めて、関連痛が生じる例も稀ではありません。そのため、触診の前に動作分析(可動域評価)により、発痛源を検索することが重要です。

その後、触診とエコーで対象物の深さ(Fasciaの重積部)など解剖学的構造や、Fasciaの伸張性・滑走性の評価、刺入ルートの安全性(例:神経や血管の位置確認)を確認し、局所治療を実施します。

Fasciaとトリガーポイントの関係は?

トリガーポイントTrigger pointは、過敏化した侵害受容器という生理学的観点の名称であり、形態表現の1つとして筋硬結があるに過ぎません。

臨床でも、トリガーポイントは筋膜上のみならず腱・靭帯・脂肪・皮膚などの結合組織に広く存在し、筋膜以外も治療対象となることは広く知られています。

そのため、“トリガーポイント=筋硬結Muscle nodule という理解は正確ではありません。

一方、Fasciaは解剖学的観点の名称です。トリガーポイントは、侵害受容器など痛みのセンサーが高密度に分布しているFasciaに優位に存在している可能性が示唆されています。

これまでの病名との整合性は?(その膝痛は、変形性膝関節症?MPS?)

診断名の定義は、「解剖Anatomy ☓ 病態Pathophysiology ☓ 原因etiology」です。これら3要素すべて説明できる時に、疾患として成立します。

1つ以上が不明の時は、◯◯症(=〇〇という状態、symptom)、〇〇症候群(=特定の症状群がまとめて生じる原因不明の疾患群, syndrome)という名称になります。

例えば、変形性膝関節症という病気は、「関節が変形している状態」という解剖の要素に言及した「症状名」であり、症状に対応した「病態」は規定されていません。

関節とは、joint space(関節腔)+Fascia(関節包、靭帯などの線維性結合組織)で構成されます。

膝関節内に炎症(例:滑膜炎)が起きている場合は、膝関節炎(膝関節腔内および一部の関節包の炎症)として発痛源となります。なお、多くの場合で、エコーで増生し血流が豊富な滑膜が観察できますので、いわゆる関節水腫とは異なる病態であることは鑑別できます。また、変形が重度の場合には、稀に軟骨の下の部分の骨の痛みを合併することもあります。

一方、多くの場合、膝関節が変形すると、膝関節を支える筋や靭帯に過剰な負荷がかかりMPSなどのFasciaに起因した痛みを合併します(例:内側側副靱帯、鵞足)。レントゲンで変形が明らかでない場合でも、生活様式や動作の癖などによりFasciaの痛みを起こすこともしばしばです。

また、伏在神経および神経周囲のFasciaの異常による膝内側部痛も稀ではなく、同部位のFasciaリリースが有効です。

このように、構造の変形(例:変形性◯◯、◯◯狭窄症)を示唆する病名、あるいは〇〇症候群と、MPSなどのFasciaに関連した病名は合併することがよくあります。なお、MPS自体も症候群であり、十分に解明された疾患ではありません。

線維筋痛症と筋膜性疼痛症候群(MPS)は同じ?

両方とも「筋痛症(きんつうしょう)」と呼ばれることもあり、混同されやすい病気です。

MPSの重症化したものは線維筋痛症とも言われる場合もありますが、線維筋痛症は「脳が何らかの原因で敏感になってしまった状態 central sensitivity syndrome」のことであり、MPSは主に末梢性の病変を示唆する疾患です。

しかし、多発するMPSによる痛みなどの症状が、中枢過敏の一因である可能性も報告もされています。そのため、MPSと線維筋痛症の境界は現時点でも議論されています。

ただし、MPSの場合は、全身で同時に痛み、しびれが発生することは基本的には無く、片肩、首、腰、片足など特定の部位、若しくはその複数の部位の組み合わせで発生をします。


治療方法

MPS(筋膜性疼痛症候群)及び異常なFasciaの治療においては、以下の3点が重要です。

1. 適切な評価により発痛源を検索し、治療すること。

2. 悪化因子(アライメント、身体の使い方による「使いすぎOveruse・廃用Disuse・誤用Maluse/Misuse」、心理的緊張、中枢過敏)を取り除くこと

3. 早期の治療により痛みを取り除くこと

痛みの状態が急性痛から慢性痛に移行をしますと、心身症の側面が現れ、ワインドアップ現象、中枢系感作、痛みの可塑性などの影響により脳が痛みに過敏になるなど、難治性の病気へ進行する可能性が高くなります。

具体的な治療方法は多様であり、直接法と間接法に分類することができます。治療者毎の得手と、多職種連携で治療していくことが重要です。

発痛源と悪化因子の関係

直接法と間接法

直接法と間接法は分離可能な概念ではなく、多くの直接法は間接法としての効果も含みます。

例えば、異常なFasciaへの局所治療は、病変部位の治療と、病変部位を含むあるいは関連する組織の治療(反射による筋クランプの即時改善など)の両者に有効です。

直接法(direct approach)

発痛源へ直接介入し病変部自体を治療(例:組織間の滑走性改善・組織自体の伸張性改善):Fasciaリリース(注射、鍼、徒手)、トリガーポイント注射、時に鏡視下剥離術などがあります。

間接法(indirect approach)

発痛源を悪化させている因子(悪化因子)の同定・治療(例:病変部周囲組織の伸張性改善による病変部への負担を軽減、心因的な緊張緩和によるリラックス)、ストレッチ、筋緊張緩和(リラクゼーション:ポジショナルリリースなど)、動作指導、認知行動療法などがあります。

エコーガイド下Fasciaリリースとは?

エコー画面で異常なFasciaを確認しながら、リリースする手技です(=Ultrasound-guided Fascia Release)。

注射によるエコーガイド下FasciaリリースUltrasound-guided fascia release Injection(= Ultrasound-guided fascia hydrorelease)とは、エコー画像上”白く厚い帯状の構造物をバラバラにするように実施することです。

鍼を用いたFasciaリリース(Fascia release dry needling、徒手によるFasciaリリースFascia release manipulation も同様です。治療後、Fasciaを介した組織の滑動性や伸長性の改善が診察・エコー上で確認します。

現在、多職種による治療を並列に議論する場合はFasciaリリース(鍼、徒手、注射など)を、注射のみを議論する場合はファシア・ハイドロリリースという用語も用いられる傾向にあります。

生理食塩水注射とエコーガイド下Fasciaリリースの歴史的経緯と国内の普及経緯

生理食塩水による局所注射の歴史は古い。

エコー機器の発達は精密な局所注射を可能にし、ブドウ糖・生理食塩水・細胞外液・ヒアルロン酸など非局所麻酔薬を用いて、Fascia/神経/血管などをピンポイントに狙った精密治療が注目されています。

歴史をたどれば、MPSに対する生理食塩水注射の学術的な報告は、1955年のSolaらの頚肩部痛100例に始まりました(Am J Phys Med 1955.)。

1980年には、FrostらはMPS治療に使用する薬液は局所麻酔薬よりも生理食塩水が優れるというランダム化比較試験(RCT)の結果をLancetで報告しました(Lancet 1980)。

長時間型局所麻酔薬の開発等が進み、MPSに対する局所注射は、局所麻酔薬の優位性が報告される一方で、1990年代にはブドウ糖液(Prolotherapy)・蒸留水・ボツリヌス毒素Aが、2000年代には自己多血小板血漿(PRP)が、生理食塩水に対する比較試験で報告されてきました。

2008年のStaal JBらによるCochrane Review(Cochrane Database Syst Rev 2008)では「MPSに対する局所注射の治療効果は、各種局所麻酔薬・ステロイド・ボツリヌス毒素Aと生理食塩水(プラセボ)と同等であった」と示され、運動器疼痛に対する局所注射治療への社会の否定的な理解を強めました。

この研究結果は「生理食塩水はプラセボではなく他薬液と同等程度に有効である」とも解釈できたのですが、生理食塩水はプラセボであるという西洋医学研究の根底にある観念は強固でした。一方、これら過去の局所注射に関する、殆どの研究手法は“ブラインド注射”であり、その精度は大きな課題でした。

2008年8月、旧MPS研究会会長・木村らは筋膜性疼痛Myofascial painに対する治療として、局所麻酔薬による筋膜間ブロックを発表(スキマブロック.第2回MPS研究会学術集会.(2008.8.23))し、2010年4月には雑誌・ペインクリニックに報告しました(Pain Clinic 2010)。

2011年5月、Domingoらは、局所麻酔薬によるエコーガイド下筋膜間注射の肉眼解剖学的検討を報告し(Clin J Pain 2011)、2011年10月にはTesarzらが筋外膜の3層構造のうち外層に知覚神経が高密度に存在することを報告しました(Neuroscience 2011)。

2012年、木村は、局所麻酔薬の代わりに生理食塩水注入でもFasciaに由来する症状に関して、同等以上の効果を得られることを報告しました(続MPSに対する新しい治療法.第10回MPS研究会学術集会. (2012.11))。近年の技術革新によりエコーがMRIやCTよりも局所分解能が優れ、局所注射の精度を飛躍的に向上させてきました。

そして、2014年6月、木村は「エコーガイド下筋膜リリース(エコー画像上”白く厚い帯状の筋膜“をバラバラにするように実施することで、鎮痛効果に加えて結合組織の伸展性・柔軟性の改善を期待する手技)」を考案しました(エコーガイド下筋膜リリース法. 第13回MPS研究会学術集会.(2014.6))。

2014年7月「運動器エコーフェア in 大阪」で、旧MPS研究会役員・小林が100名余りの整形外科医を前に「MPSの観点から診た腰痛患者の評価と生理食塩水注射によるエコーガイド下筋膜リリース」の初見ライブ治療(外部リンク)を行ったことで整形外科分野への認知が始まりました。

2015年5月に、小林らは生理食塩水注射によるエコーガイド下筋膜リリースに関する論文が「特集 THE整形内科. 治療(南山堂 2015)」に掲載され、内科・総合診療分野への認知が始まりました。

2015年6月、木村は筋膜だけでなく、靭帯、支帯、さらに神経上膜などにもエコーガイド下注射が有用であることを報告しました。(筋膜リリースからFasciaリリースへ. 第15回MPS研究会学術集会(2015.6))同時に、「エコーガイド下筋膜リリース」を「エコーガイド下Fasciaリリース」と改名しました。

2015年7月には、運動器エコーの先駆者である皆川らの薦めで、第27回日本整形外科超音波学会で白石、小林が筋膜・神経含むFasciaへの生理食塩水注射に関する発表(外部リンク)したことで、整形外科分野への認知が急速に進みました。

2016年5月、白石・皆川・小林らの編集による運動器エコーとFasciaリリースが既存の整形外科学との融合を目指した書籍「THE整形内科(南山堂 2016)」や木村が執筆したスポーツ分野への活用を提示した論文「臨床スポーツ医学(文光堂 2016.5)書籍内で紹介した治療手技動画(外部リンク Youtube)」が発刊されました。

2016年8月、小林らは、MPSに対するエコーガイド下Fasciaリリース注射の1つである Interfascial injection(筋と筋の間・皮下組織、脂肪体含む筋と骨の間などの筋外膜間スペース)は、生理食塩水が局所麻酔薬よりも注入痛は大きいが鎮痛効果に優れ、細胞外液が生理食塩水よりも注入痛は小さく同程度の鎮痛効果であることを2つのRCTで示しました(Journal of the Juzen Medical Society 2016)。

以後、総合診療領域、ペインクリニック領域、整形外科領域などの各種学会や各種セミナーで本分野の発表が増えてきました。

2017年3月には、書籍「Fasciaリリースの基本と臨床(文光堂 2017)」が、2017年5月には書籍「無刀流整形外科(日本醫事新報社 2017)」と「離島発とって隠岐の外来超音波診療ー動画でわかる運動器エコー入門(中山書店 2017)」、2018年7月には「肩痛・拘縮肩に対するFasciaリリース(文光堂 2017)」が発刊され、Fasciaの臨床的認知は急進しています。

2018年度に入り、学会の保険審査委員会などでも、Fasciaリリースという手技に関する保険診療上の扱いが前向きに議論されるようになりました。(例:局所麻酔薬ありの場合「トリガーポイント注射」、局所麻酔薬なしの場合「皮内、皮下及び筋肉内注射」)。諸外国(アジア、北米、EU)でも、5%ブドウ糖、生理食塩水、ヒアルロン酸など多様な液体を用いた、Fascia/末梢神経/末梢血管などへのエコーガイド下治療の実践は広がってきています。

ハイドロリリースHydrorelease(HR)とは?手技名称の基本要素からみたHRの定義

ハイドロリリースHydrorelease(HR)は、Hydro(液体)でRelease(剥離・緩める)ことを意味します。

使用される液体は様々ですが、日本国内では「HR=生理食塩水注射」の意味で使用される傾向があります。

Fasciaを対象とすればFascia Hydrorelease、神経を対象とすればNerve Hydrorelease(神経ハイドロリリース)と、その対象に係る語と組み合わせて使用します。

歴史的には、Hydroreleaseという語が初めて使用されたのは、2012年のJay B. Janiらの国際学会ポスター発表になります。(PM&R , Volume 4 , Issue 10 , S254)一方、2011年にMulvaneyらにより文献的に初めて使用されたHydrodissection(Curr Sports Med Rep 2011)の言葉が主に広がってきた影響によるものと類推されますが、Jayらの2012年の資料以外に活字としてHydroreleaseという用語はインターネット上には見つけられませんでした(もし、見つけた方はご連絡いただけると幸甚です)。

 

2017年3月、日本においては、前述のエコーガイド下Fasciaリリースの注目が増える中、「液体の注射でリリース」する手技を指すハイドロリリースHydroreleaseという名称が、皆川洋至・白石吉彦・木村裕明・小林只らの協議により命名されました(2017年3月29日~30日:私文書)。

その主たる意図は、社会で誤用される「筋膜リリース」という用語との差別化、及びFasciaハイドロリリース(液体注射によるFasciaリリース)は鍼や徒手によるFasciaリリースとその有効性等に係るメカニズム等が異なる可能性を示唆することにありました。

 

ハイドロリリースHydrorelease(HR)という用語自体は、Hydro(液体:以下参照)でRelease(剥離・緩める:以下参照)を意味します。

世界的には、生理食塩水(生理食塩水から高濃度食塩水まで)、局所麻酔薬(低濃度~高濃度を含む)、ブドウ糖(5%~10%:プロロセラピーと同義)、細胞外液(例:ビカネイト)、ヒアルロン酸(低分子~高分子)、蒸留水などの多様な液体が使用されていますが、その優劣の検証は今後の課題です。

日本国内では、「ハイドロリリース=生理食塩水注射」の意味で使用される傾向があります。

一般的に、手技名は「A(対象)を、B(例:道具)を用いて、C(現象・手技)する」という要素で構成されます。つまり、Fascia(A)を液体で(B)リリースする(C)ことがFascia Hydrorelease(ファシア・ハイドロリリース)となります。

そのため、ハイドロリリースという用語自体は、その対象までを含む言葉ではありません。即ち、Fasciaを対象とした場合はFascia Hydrorelease、あるいは神経を対象とした場合はnerve Hydrorelease(神経ハイドロリリース)、靱帯を対象とした場合は靱帯ハイドロリリース(ligament Hydrorelease)などと、その対象に係る語と組み合わせて使用することが基本となります。

ハイドロダイセクション Hydrodissection(HD)とは?Hydrorelease(HR)の差異

Hydrodissection(HD)は多様な領域で使用されていますが、運動器領域では「末梢神経を液性剥離する手技」と理解されています。

HDと神経ハイドロリリース(Nerve HR)は、同じ生理食塩水注射であっても差異があります。1)dissectionは「剥離」というエコー画面上の組織の「形態表現」、Releaseは「剥離(形態)+弛緩(機能)」を示すこと。2)海外のHDで使用する薬液量が日本のHRに比べて非常に多いこと。

実は、Hydrodissection(HD)は、多様な領域で既に使用されています。

眼科領域では、1980年代から白内障手術時に水晶体囊と内容との間を液体で解離させる手技として広く使用され、 現在の多くの白内障手術には必須の手技とされています。

腫瘍などのアブレーションablation(電気焼灼)治療時、HDは「標的部位と隣接する臓器との間に液体を注入し、距離を取って臓器損傷を防ぐことを目指す手技」と定義されています。

泌尿器科領域では、2005年にGervaisらが初めてこの用語を報告しました(AJR. Am J Roentgenol 185 : 72-80, 2005)。

なお、Dissectionという言葉は「解剖(剖検)」を容易に連想させることから、患者さんら一般人や解剖学者は、手技以外のイメージを印象づけてしまう傾向にあります。

 

運動器領域では、2011年にMulvaneyらが「末梢神経を液性剥離する手技」として初めて報告しました(Curr Sports Med Rep 2011)。

手技自体としては、神経ハイドロリリース(nerve Hydrorelease)に近似します。両者の違いは、dissectionは「剥離」というエコー画面上の組織の「形態表現」であり、Releaseは「剥離(形態)+弛緩(機能)」を示すことにあります(後述:リリースとは?)。

国内でも、末梢神経への生理食塩水注射を、単に「ハイドロリリース」と表現されていることもあり、注意が必要です。

また、海外のHDは使用する薬液量が日本のHRに比べて非常に多い傾向にあります。例えば、肘の尺骨神経部のHDでは20~40ml程度(50ml以上使用する治療家もいるようです)使用されますが、日本のHRでは3-7ml程度を使用して発痛源がどの組織(例:神経、靱帯、筋、Fascia)なのかを病態分離しより特異的な治療を目指している点が異なります。

つまり、同じ生理食塩水注射であっても、その手技や考え方は差異があります。

新しい言葉の選択とその注意点:

言葉は「生き物」です。「言葉の独り歩き」は、関係者を混乱させます。

そのため、認知言語学・翻訳学・現象の記述手法などを用いて、社会的な誠実性を根底に、一定の手順に基づき制定する「定義」が大事になるのです。

新しい言葉の選定は、論文執筆にも似ています。

対象となる言葉の歴史的経緯を調査し現在の課題を提示する(背景)、再現性のある検証方法で記述し(方法)、選定用語を決める(結果)、最後にその言葉が将来に与える影響を議論する(考察)。その第一義的目的には「目の前の現象」の必要十分条件の言語化にあります。

そして、決して「言葉遊び」にならないように慎重に議論する必要があります。

一度、名付けられると、その言葉から連想されるイメージが先行し、本来の名称の定義とは異なってくる現象は非常によく生じています。つまり、「言葉の独り歩き」の状態です。現在の「筋膜リリース」という用語は、その代表例でしょう。

 

そして、言葉は「生き物」です。時代や環境、扱う人の感性・認知に合わせて、その意味は移ろいます。

また、言葉の定義やそれが指し示す範囲は、人種・言語・方言含めて、あくまで相対的なものです。

そのため、認知言語学、比較言語学、翻訳学などの言語を扱う手法、目の前で発生している現象を正確に記述する手法、さらには既に使用されている用語との関係性を明示する手法の全てが必要になります。

何より、「社会的な誠実性」を根底にした態度が重要です。過去には、蘭学を当時の日本語に翻訳する場合に、目の前の現象に基づいた日本語の作成をした偉人らがいます。

その異言語間の適切かつ信念のある翻訳により、我々は日本語で医学を学べるようになったのです。

 

言葉が人々の間に定着するためには、「響きがかっこいい」「覚えやすい」などの要素も重要であり、これは広告やPR(public relations)などの分野の手法も有用です。

しかしながら、決して「ノリ」・「なんとなく」で決める類のものではないのです。これらに十分注意しませんと、「言葉の独り歩き」により、むしろ関係者を混乱させてしまいます。

だからこそ、一定の手順に基づき制定する「定義」が大事になるのです。

 

旧MPS研究会時代から、当会は上記の手続きに可能な限り基づいて用語制定を進めてきました。

結果、「整形内科」、「エコーガイド下Fasciaリリース」、「ハイドロリリース」など本分野に係る言葉を制定してきました。

整形内科とFasciaに関しては上述しましたが、以下にハイドロHydro-、とリリースReleaseに関する制定までの経緯の概略を提示します。

言葉の定義の背景:ハイドロHydro-とは?

水に関連した語は「water、aqua、fluid、liquid、hydro-」などがあります。

このうち「液体」による「リリース」を示せるのは、liquid ReleaseあるいはHydroreleaseです。Hydro-には「新しい技術を表す語」としての意味があります故、Hydroreleaseハイドロリリースと選定しました。

「液体を」注射する、という表現の制定には、水に関わる多様な語を検討してきました(2017年4月)。水に関連した語としては、「H+、H2O、水water/aqua、流体fluid、液体liquid」などがあります。

 

  • water:英語。主に、以下の3つの意味で使用されます。

1)化合物名:気体、液体、固体の形態をとります。H2Oのことです。

2)地球生態学で論じる時「transparent and nearly colorless chemical substance」。地球は水で覆われている、という意味です。

3)純粋な水素分子H+を示し、生理食塩水という溶解液は含まないと理解されています。

→従って、生理食塩水やヒアルロン酸など多様な液体を用いた注射を表す語としては不適と判断しました。

 

  •  aqua:ラテン語。waterとほぼ同義です。

→waterと同様の理由で不適と判断しました。

 

  • fluid:流れというベクトルを含み、「流体」を意味します。固まる前のコンクリートのように砂礫が混じった水のように、固体と液体の混合物でも、気体でもfluidです。
    →「液体」の定義に合わないため不適と判断しました。

 

  • liquid:いわゆる気体、液体、固体の「液体」を指します。

→Liquid Releaseの場合、Liquidは形容詞になります。形容詞のliquidは、「液体の、液状の、液化した、不安定な」、つまり、液体自体よりも「液状の物体の」や「何かが液化した物体の」というニュアンスとなります。

 

  •  Hydro-:接頭語として、広く使用されています。以下の主な4つの活用があります。

1)ギリシャ語Gr.hudor/hydor 「水」です。ギリシャ語から来ている Hydro は産業革命以降に新しい技術を表す語の接頭語に使われる傾向にあり、主に専門用語で使用されてきました。

2)流体力学のうち、aerodynamics (the study of air and other gases in motion) あるいはHydrodynamics (the study of liquids in motion)を意味します。

3)Hydrodynamicsの意味のHydro-は使用されていますが、分子学でHydroは「H+」を、熱力学では「H2O」を意味します。

4)「H+、H2O、水water/aqua、流体fluid、液体liquid」をいずれも意味しえます。それを象徴するのが、Hydrologyであり、環境学のうちの惑星の「水」を研究する学問という語です。(参照:外部リンク

以上より、生理食塩水など溶液を含む「液体」を示せるのは、liquid ReleaseあるいはHydroreleaseでした。そのうち、「新しい技術を表す語」としての意味を負荷できるHydro-を選択しました。

言葉の定義の背景:リリース Releaseとは?

リリースReleaseとは、間接法としての「緩める」+直接法としての「剥離」の両者の意味を持ちます。

一方、ダイセクション Dissectionは直接法としての「剥離」、リラクゼーションRelaxation/リフレックスReflexは間接法としての「緩める」のみを意味します。

「リリース」という用語に関連し、Fascia Release(ファシアリリース)という用語が徒手療法家を中心に世界中で広く使用されています。しかし、”リリースRelease”という用語の厳密な定義は見つかりません。

Releaseの一般的な医学用語としての定義は、以下です。

1. put it off (解き放つ)

2. surgical incision or cutting of soft tissue to bring about relaxation(軟部組織をリラクゼーションさせるための外科的な切開あるいは切り込み)

 

一方、”リリース”という日本語は”剥離”のニュアンスが強いですが、英語のReleaseは、組織の伸張性改善(リラクゼーション)の意味も含みます。

従って、我々はリリースという言葉を、

1. リラクゼーションrelaxation(あるいは“緩めるloosening”):治療手技としての間接法の意

2. 分離separation(あるいは“剥離dissection”):治療手技としての直接法の意

の両者を含む用語として使用しています。

治療例(Fasciaリリース注射:ハイドロリリース)

Fasciaリリース注射の代表的な手技を以下に紹介します。

また、木村が執筆した論文「臨床スポーツ医学(文光堂 2016.5)」のなかで紹介した注射手技に関する動画(外部リンク Youtube)や末尾に提示した参考書籍等もご参照ください。

エコー動画1:烏口上腕靱帯
エコー動画2:椎間関節/多裂筋
エコー動画3:肩峰下滑液包
エコー動画4:僧帽筋/棘上筋

Fasciaリリース注射に使用する液体や注射道具は?

現代では生理食塩水・細胞外液・ブドウ糖・ヒアルロン酸などが国内外で使用され、その研究と臨床が加速しています。

その優劣は、今後の検討課題であります。現状では、生理食塩水が最も使用されていますが、局所注射が可能な非局所麻酔薬の開発と、薬事法上の適応が期待されています。

Fasciaリリース注射に適した注射針は、標準は27ゲージ、深部への25ゲージカテラン針など細いものが望ましいです。

Fasciaリリース注射とトリガーポイント注射や神経ブロックとの違いは?

本手技は、従来のトリガーポイント注射のように単に圧痛のある部位に注射を行う手技ではありません。また、神経周囲に薬液を届ける神経ブロックとも異なります。

ブロックという名称は、局所麻酔薬を組織に浸潤させることで神経伝達を「ブロック」する意味で使用されます。

そのため、局所麻酔薬の薬効に依存しない鎮痛メカニズムであるFasciaリリース注射は「ブロック」とは原理が異なります。

Fasciaリリースでは、病歴、関連痛パターン、Fasciaの連続性、可動域制限・疼痛誘発動作、エコーによる組織の滑走性と伸張性の評価、圧痛点の評価により異常なFasciaを解剖学的に詳細に検索した治療点を丁寧に触診し、最も圧痛が強い部位にエコープローブを当てます。

圧痛点の近傍で最も白く厚く重積したFasciaをエコー画像上に確認し穿刺します。治療点であるFasciaに針先が到達したら、針先を微妙にずらしながら、薄紙を剝がす(バラバラになる)ように液体(薬液)を注入します。つまり、Fasciaリリースはエコー画像上の形態変化を重要視している点が、局所麻酔薬を用いた神経ブロック手技と異なります。

手術、注射、鍼、徒手の使い分けは?

癒着の強さと可動域制限・組織の伸張制限は比例傾向にあります。また、癒着の程度よりその治療手段は異なります。

図:癒着のGrade 分類と治療方法の特性(Fasciaリリースの基本と臨床(文光堂)より)図:癒着のGrade 分類と治療方法の特性(Fasciaリリースの基本と臨床(文光堂)より)

図:癒着のGrade 分類と治療方法の特性(Fasciaリリースの基本と臨床(文光堂)より)

 


経過

Fasciaに対する過負荷は通常、数日で自己回復します(遅発性筋痛症と同様の病態が想定される)。一方、自己回復できなかった場合に、異常なFasciaとして症状を引き起こす一因(発痛源)となります。

異常なFasciaの部位は圧痛を強く感じる傾向にありますが、自覚症状が十分に改善しても局所の圧痛が残る場合もあります。

1回の治療効果は様々です。末梢の病変の程度、中枢過敏の程度など様々な影響を受けます。

1回の局所治療で、姿勢やアライメントが改善し、以後再発しない患者もいます。しかし、多くの場合は複数回の局所治療と、悪化因子のケアによる継続的治療が必要になります。

治療効果判定

以下は、1つの目安です。

  • 治療後、数時間も変わらない:発痛源を適切にアプローチできていない。
  • 1日有効だった:発痛源のより詳細な評価を進める。
  • 3日有効だった:発痛源へのアプローチとして大きくは外れていない。
  • 1週間有効だった:発痛源を適切にアプローチできていた可能性が高いが、生活動作や体操などの身体的悪化因子への評価介入が重要

「有効」を適切に評価することは、しばしば困難です。再診時に「前回の治療は効果がなかった」と患者が話した場合、それを鵜呑みにする前に、症状の強さの変化、症状の種類の変化、症状の部位の変化、治療部位に係る関節可動域や組織伸張性、などを適切に把握することが重要です。具体例を挙げます。

症状の程度は本当に変化がないのでしょうか?「ゼロにならない=効果がない」と解釈する患者もいます。

「もと」とは前回と本当に同じ場所でしょうか? 別の発痛源の症状が前回の自覚症状と近い部位に症状を出すことも多いです。

可動域は改善しているが、「最終可動域での痛みは変わらない」という現象を、「変わらない」と表現していることもあります。患者はえてして可動域の変化を自覚できていません。

悪化因子の再評価(内科疾患など)

なお、適切な発痛源にアプローチできているにも関わらず、治療効果が数日以内の場合は、「血液疾患(例:貧血)、膠原病(例:関節リウマチ、脊椎関節炎)、電解質異常(例:Na, K, Ca, P, Mg, Fe。その中でも特に低フェリチン血症)、甲状腺機能、錐体路障害や錐体外路症状を引き起こす神経疾患(例:パーキンソン病、脳卒中後遺症、脊髄損傷)、心理要因(例:うつ状態、うつ病)、薬物の副作用(例:オピオイド、向精神病薬、抗うつ薬)、低栄養状態など」の悪化因子を評価する必要があります。


推奨書籍・アプリ

整形内科

  • 白石吉彦、白石裕子、皆川洋至、小林只(編). THE 整形内科: 南山堂, 2016.
    →中級者向け:整形内科の名称としての成書
  • 柏口新ニ(編). 無刀流整形外科. 日本醫事新報社, 2017
    →上級者:既存の整形外科学・運動器額との融合を目指した書籍。

Fascia Release (ファシアリリース)

  • 木村裕明, 高木恒太朗, 並木宏文, 小林只(編). 解剖・動作・エコーで導く Fasciaリリースの基本と臨床~筋膜リリースからFasciaリリースへ~. 文光堂 2017.
    →中級者向け:Fasciaリリースの概念と具体的に現場実践方法の概説
  • 木村裕明, 高木恒太朗, 並木宏文, 小林只(編). 肩痛・拘縮肩に対するFasciaリリース~肩関節周囲炎を中心に~: 文光堂, 2018.
    →中級者から上級者向け。エコーガイド下肩峰下滑液包内注射の次に進みたい方。肩関節周囲炎と拘縮肩に関して、従来の機能解剖学や整形外科学にFasciaの観点を加えた病態概説と、それに基づく診療手順を提示。

外来超音波診療

  • 白石吉彦(著).離島発 とって隠岐の 外来超音波診療 動画でわかる運動器エコー入門:肩こり・腰痛・五十肩・膝痛のみかた. 中山書店, 2017
    →初級者向け:外来超音波診療の導入に。運動器エコーとFascia含む活用方法。

運動器エコー・解剖学

  • 皆川洋至(著). 超音波でわかる運動器疾患−診断のテクニック. MEDICAL VIEW社, 2010
    →運動器エコーの日本の古典かつ成書
  • 仲西 康顕 (著). うまくいく! 超音波でさがす末梢神経−100%効く四肢伝達麻酔のために. MEDICAL VIEW社, 2015
    →美しい神経解剖のイラストが満載の書籍。
  • 林典雄(著). 運動療法のための運動器超音波機能解剖 拘縮治療との接点. 文光堂 2015
    →関節拘縮の機能解剖とエコーを学ぶための良書。
  • 工藤慎太郎(著). 運動療法の「なぜ?」がわかる超音波解剖. 医学書院, 2014
    →臨床的な機能解剖をエコー解剖で解説する良書。
  • 河上敬介, 礒貝香(編)骨格筋の形と触察法 第2版, 2013
    →肉眼解剖による骨格筋の外観および正常亜型の概説と、触診(触察)方法の提示。

筋含む内科症候学

  • 松岡史彦、小林只(著). プライマリ・ケア~地域医療の方法~.メディカルサイレンス2012
    →筋を含めた症候学を体系化した一冊。

解剖アプリ

多医療職の方々へ

現在、Fasciaに係る学問領域は、西洋医学・東洋医学・代替医療などの多様な医学体系の、あるいは手術・関節鏡・注射・鍼・徒手・物理療法・運動療法などの多様な治療手技の包括的理解を促すための新たな分野として注目されています。

整形内科では、局所治療、運動療法、生活動作指導、薬物療法、認知行動療法などの多様な治療手技を多職種で相補的に扱いますが、その中でも「Fascia」を従来の西洋医学と論理的に統合し、医学のさらなる深化を目指しています。