第2回 オンラインセミナーおよび研究発表のための資料作成術~著作物の利用検討前に確認すべきステップ:肖像権・個人情報保護、産業財産権、安全保障貿易管理~
一般社団法人 日本整形内科学研究会では、2020年7月18日(土) に第10回 JNOSウェビナー[Web Seminar] を開催いたします。今回は、前回につづき「コンプライアンス向上」に関して、テーマは「オンライン研究発表のための資料作成技術」です(参考:第1回 オンラインセミナーおよび研究発表のための資料作成術 第1部~総論、知的財産権としての著作権、著作物の利用方法~ [2020年6月20日(土)])
会員内外からの多くの問い合わせ、事前質問などを頂き感謝申し上げます。これらに適切に対応するためも、全3回シリーズとして本テーマを十分に扱うように予定しています。いずれの回も講義部分はYou tube liveで公開予定でございます。さらなく個別具体的事例や運用に関しては、当会会員限定に別途セミナーを企画しております。
- 第1回 オンラインセミナーおよび研究発表のための資料作成術 第1部~総論、知的財産権としての著作権、著作物の利用方法~ [2020年6月20日(土)]
- 第2回オンラインセミナーおよび研究発表のための資料作成術~著作物の利用検討前に確認すべきステップ:肖像権・個人情報保護、産業財産権、安全保障貿易管理を中心に~[2020年7月18日(土)]
- 第3回オンラインセミナーおよび研究発表のための資料作成術~著作物のライセンス検索技術、著作物性に応じたリライト技術を中心に~[2020年8月22日(土)]
【抄録】
近年のデジタル化は、違法コピー、盗用・盗作を技術的にも容易にしてきました。そのため著作物・技術・ノウハウの保護に係る国際間の駆け引きが多分野で過熱しています。今回の新型コロナウイルス騒動を契機に、否応なしに「オンライン開催」に移行する学会・研究会、そして個人セミナーが急増しました。オフライン時代では「バレなかった」ために見過ごされてきた諸問題が、オンライン化により表面化してきました。
今回の「第2回オンライン研究発表のための資料作成技術~個人情報保護・産業財産権・安全保障貿易管理を中心に~」では、個人情報保護・産業財産権・安全保障貿易管理、を主に扱います。これら全て刑事罰規定があり「知らなかった」では済まされないことになります。
- 個人情報保護:第1回ウェビナーでも一部紹介しましたが、今回は個人識別符号について詳細に解説します。個人情報とは、「当該情報に含まれる…記述等…により特定の個人を識別することができるもの」です。そして、個人を識別できる符号を個人識別符号と言いますが、これには「DNA塩基配列、顔の容貌、虹彩、発声時の声帯の振動等、歩様、静脈、指紋・掌紋(施行令1条1項1号)」なども含まれます。「患者の顔を隠せば問題ない」というわけではありません。患者の声、歩き方、手のひらの画像等はすべて含まれます。そもそも、個人情報保護法は2003年に制定(2005年施行)されました。その後2015年に改正(2017年施行)された改正個人情報保護法により「匿名化」という言葉はなくなり、「匿名加工情報」と名称化され、その法的プロセスを守れば患者の同意を得ずとも個人情報を利用できるようになりました。その1つに「個人識別符号の全部を削除すること」「本人を識別する目的で、匿名加工情報と他情報とを照合すること(例:対応表の存在)」とあります。つまり、症例報告や患者の様子を発表で使用する場合は、「患者の適切な同意」が必須になります。そして、ここでいう「適切な同意」にも国際的なルール(必要項目など)があります。この法律は2020年6月にも改正され、氏名等を削除した「仮名加工情報」という仕組みも創設され、GDPR(EU一般データ保護規則)に近づいてきました。
- 肖像権:肖像権は「みだりに自分の肖像や全身の姿を撮影されたり、撮影された写真をみ だりに公開されない権利」です。法律で定められた著作権とは異なり、肖像権法という法律は現時点の日本にはありません。肖像権は判例法であり、条文がないために曖昧であり、解釈される権利ともいえます。今回は、上記個人情報の扱いに関する具体例として、第1回で提示した著作権との関係、および被写体の権利について説明します。時間的余裕もあれば、デジタルアーカイブ学会が提唱する「肖像権ガイドライン(案)Ver03 」とともに肖像権の具体的扱い方に関しても紹介します。
- 産業財産権:今回は、いわゆる企業のロゴやマーク、言葉(用語)などの「商標(標章)」を主に扱います。例えば、Google® mapの利用範囲を確認したことがあるでしょうか? 地図という著作物、そして各種マーク(商標)が含まれており、利用範囲と方法が決まっております。また、各種団体のロゴマーク、文言(フレーズ)、例えば治療手技名に関しても、商標権が存在していることも稀ではありませんので、その利用前にJ-PlatPat®などの検索ホームページで確認する必要があります。今回は、第1回で解説した著作権と商標権を合わせた資料利用のポイントを解説します。
- 安全保障貿易管理:海外との情報のやり取りに対して個人も組織も守るべき規則です。この規則は「武器や軍事転用可能な貨物・技術が、我が国及び国際社会の安全性を脅かす国家やテロリスト等、懸念活動を行うおそれのある者に渡ることを防ぐため、先進国を中心とした国際的な枠組み(国際輸出管理レジーム)を作り、国際社会と協調して輸出等を管理(経済産業省HPより)」するものです。例えば、海外出張・学会参加時にパソコン、スマートフォン、測定機器、医療機器等を無許可で持ち出してはならないのです。少し驚きますが、その他にも、国内開催の国際学会、国内開催でも日本人以外が参加される場合、日本人のみのオンライン会合であっても使用するソフトウェアが海外サーバーを使っていた場合、そしてメール・電話のやり取りなど全てを含むルールが、この安全保障貿易管理になります。一般企業であれば、この手の書類申請は既に慣れているものですが、医療者の場合、大学や研究所勤務のスタッフ以外には馴染みが薄いかもしれません。しかしながら、オンラインで研究発表やセミナーを開催する上で、海外との情報のやり取りは意識せずとも生じてきます。違反時には、スタッフ自身だけでなく、スタッフを雇用している組織の代表者(例:大学では学長、病院では院長)も処罰の対象となります。不当競争防止法、関税法、なども密接に関連しますが、今回は安全保障貿易管理を最低限実行するための対処・手続きに関して紹介します。
情報の価値が急増する現代において、社会活動をする上の「マナー」とも言える範疇の判断や振舞いの必要性を再認識し、デジタル時代の研究活動、地域活動、なにより人の活動が豊になることを願っています。
当日は、「その資料は使用可能か?のフローチャート(第1回セミナーで掲載済)」と共に解説していきます。
開催の詳細は下記を参照ください。沢山の方のご参加をお待ちしております。
第10回 JNOSウェビナー[Web Seminar]
日時 | 2020年7月18日(土) 20:40-22:30
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参加申込開始・締切 |
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主催 | 一般社団法人日本整形内科学研究会(Japan Non-surgical Orthopedics Society; JNOS) |
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申し込み方法 |
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参加者 事前チェックシート |
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その他 |
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問い合わせ先 | 一般社団法人日本整形内科学研究会 お問い合わせフォーム |