一般社団法人 日本整形内科学研究会

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【講義資料・動画の一般公開】第12回 JNOS ウェビナー[Web Seminar] (2020年8月22日[土]開催) - お知らせ

一般社団法人 日本整形内科学研究会では、2020年8月22日(土) に第12回 JNOSウェビナー[Web Seminar] (案内および抄録はこちら)を開催いたした。

これは、昨今のコロナウィルス感染拡大防止対策のみならず、従来からいただいていた、実際の集会、セミナーに参加するのが困難であるのでオンライン講座などをもっと積極的にやってほしいという要望に応えるものです。

概要:第12回 JNOSウェビナー[Web Seminar] 講義

第12回JNOSウェビナーのテーマは「オンラインセミナーおよび研究発表のための資料作成術」のもと開催しました。

本テーマのもと、全3回のウェビナーを予定しており、今回は最終回となる第3回目でした。

  • 第1回オンラインセミナーおよび研究発表のための資料作成術~総論、知的財産権としての著作権、著作物の利用方法~ [2020年6月20日(土)] 申込みページ(抄録)報告ページ
  • 第2回オンラインセミナーおよび研究発表のための資料作成術~著作物の利用検討前のステップ:肖像権・安全保障貿易管理、個人情報保護、産業財産権~[2020年7月18日 21:00~] 申込みページ(抄録)報告ページ
  • 第3回オンラインセミナーおよび研究発表のための資料作成術[実践編]~著作物のライセンス検索技術、著作物性に応じたリライト技術を中心に~[2020年8月22日 21:00~] 申込みページ(抄録)、報告ページ(本ページ)

第1回、第2回に引き続きYou tube liveによる一般公開といたしました。

約75分の講義に続き25分程の質疑応答の時間を通して盛況でした。

  • 座長 今北英高先生による司会のもと、当会理事 辻村 孝之 (フィジオ/滋賀医科大学附属病院 学際的痛み治療センター)による開会の挨拶があり、「全3回のコンプライアンスウェビナーの概要とその価値」についてお話がありました。
  • その後、小林只先生による講義が行われました。講義はマーカーペンを使いながら丁寧に説明が続き、あたかも視聴者はマンツーマンで受講できたかのようでした。
  • 今回も「情報・コト」の価値が増大する世の中において、昨今もメディア等を騒がせている「GAFA(米国系巨大企業)とBATH(中国系巨大企業)の間の情報戦争」を例に、なぜ多様な検索エンジン(例:Google, Baidu)が存在するのかという背景、そして検索エンジンは個人情報含む多様な情報を収集し何に活用しているのか、これらの観点を踏まえた検索エンジンの選び方についてご紹介されました。
  • そして、以下の内容について講義しました。
  1. 著作物のライセンス検索技術と評価方法:
    • ライセンスの範囲の基本的考え方:ワード、エクセル、パワーポイントなどのソフトウェアも、Academicライセンスの場合は非営利活動にしか利用できないこと。
    • Creative commons:CC BY、CC BY-NC、CC BY-ND(第1回コンプライアンスウェビナー参照)の復習。
    • Wikipedia、Googleにおける画像ライセンスの確認方法:WikimediaとWikipediaの違いと利用方法、Google画像検索のライセンスフィルタの活用方法。
    • 有料で購入した資料の扱い方:営利、非営利、個人など目的に応じた購入方法、およびライセンス規約の読み方の実例紹介。
    • フリーイラストの紹介:演者が頻用するイラストサイトを紹介。タイトルが「フリーライセンス」と銘打っていても、規約上は「非営利目的はフリー」とされるホームページが多いことの注意を説明。
  2. 著作物性に応じた作図・リライト等の技術と考え方:
    • 著作権侵害の基本的考え方:財産権の侵害(例:オリジナルの売上が落ちうる行為)と人格権の侵害(例:著作権者が深いな思いをする行為)に大別されることを説明。
    • 著作権侵害成立の条件:類似性(ありふれた表現を除いた創作性に対応する部分がどれだけ似ているか?)、依拠性(元となる資料を見たのか?見ていないのか?)について説明。
    • 最高裁判例を元に考える:スイカ写真事件を例に、類似性、依拠性について考え方を具体的に紹介。
    • 一般的なイラストを例に、オリジナリティ、財産権的価値、人格権的価値の3要素から、対象とする資料を「参考」にイラストを作成する方法について説明。
    • 解剖イラストに関する基本的考え方:解剖構造(事実)である範囲は「ありふれた表現」としてリライト(書き起こし)で活用できるが、その解剖イラストの「オリジナリティ(創作性)」に相当する部分はどこか?を判断して対応することが重要であることを説明。
    • 著作物である文字フォントを扱う技術:解剖イラストに日本語などで文字を追加する行為は厳密には「改変行為」に相当します。また、使用する文字フォントについて、MSP明朝、メイリオ、ヒラギノ、など主要なフォントの利用可能ライセンス範囲について概説し、安心安全に使えるフリーフォントについても紹介。学会における一般演題登録などにおいて、なぜフォントが指定されているのか?について著作物の観点から解説。
  3. その他、以下の内容が座長との対話の中で強調されて説明されました。
    • 営利行為と非営利行為(詳細は第1回コンプライアンスウェビナー参照)の区別
    • Private use(私的利用)の判断方法としての「不特定又は多数」に関する考え方
    • 音楽の著作物の利用:ウェビナーや動画作成時に自分が利用可能な音楽を検索する方法について、JASRACの活用方法を紹介、①1つの曲であっても、例えば「複製権は管理している」が「公衆送信権は管理していない(利用時は演奏家らに個別に承諾をえる必要がある)」ということ、②Youtubeやブログサイトなどは企業間「年間包括契約」をJASRACと締結している場合であっても、利用可能範囲はあくまで「歌詞と楽曲(メロディ)」であり、かつ利用可能な範囲はJASRACが管理している権利範囲に限定されること。CD含む誰かが演奏した音楽は著作隣接権(第1回コンプライアンスウェビナー参照)として利用したい場合は別途許可が必要であること、などを事例を持って説明。
    • 学会雑誌、商業誌へ投稿した自分で作成した図表は、別の発表や講演等で無条件に利用できるとは限らないこと。具体的に3種の契約体系を説明:
      ①著作財産権が全譲渡される契約
      ②著作財産権の全譲渡かつ著者等の非営利二次利用は許諾されている契約(営利利用[ランチョンセミナー、有償セミナー]では別途協議)
      ③著作財産権に関して出版社らに「利用許諾(ライセンス)」のみ契約し、著作財産権自体は著者が保有する契約
    • パロディと著作権:パロディとは「文学作品や美術作品,あるいは特定の人物を模して,ユーモアや風刺等を表現するもの」と説明さるが、上述通り財産権要素と人格権的要素からの考え方を説明しました。

最後に、人工知能(AI)が生み出した著作物は、誰に権利が発生するのか?について情報提供の後、「著作権分野の判断ができる弁理士・弁護士、知的財産管理技能士など相談できる人を確保すること」、「地域のため、患者のために、誠実に活動する医療者や関連する組織が、足元をすくわれることなく発展していくこと」について話され、締めの言葉となりました。

  • 閉会の言葉は、座長である今北英高先生より「これほどまで著作権や情報管理に関して、研究者としても大学人としても喫緊に対応すべき課題になるとは昨年度までは想定していなかった。しかしWithコロナの時代となり、急速にオンライン化する現状において自信を持って活動していくために必須の内容と実感した」と話されました。そして、「著作権や関連法規を医療者がイメージしやすい具体例や内容とともに学習できる資料は稀少」であり、第1回から第3回までの動画や資料が「クリエイティブコモンライセンス CC BY-NC-ND 4.0」で公開されているので、疑問にあたったら振り替える資料として、何度も復習して学習を続けることの重要性が強調されました。
  • 質疑応答では、Public domainの解剖イラストが収集されたホームページ、学校教育におけるサートラス(SARTRAS)との著作権契約の実情と注意点、リライトの練習方法などについて議論しました。

 


動画公開:第12回 JNOSウェビナー[Web Seminar] 講義

第12回JNOSウェビナーの動画は、You tube(JNOS公式アカウント)で公開しています。

【注意事項】本資料の二次利用について

  • 本講義は、JNOSの非営利活動の一環として上記の如く、YouTubeで公開しております。
  • 講義の最初と最後にも強調して説明がありましたが、本講義内容は、一般論および解釈法律解釈などを含むデリケートな内容であるため、利用は「クリエイティブコモンライセンス 表示-非営利-改変禁止 4.0 国際(CC BY-NC-ND 4.0)のライセンス範囲で許諾します(非営利・改変に関するルールは厳格に扱います:詳細は講義内を参照下さい)。範囲外での無断利用を見つけた場合は厳格に対応致します。なお、当会のホームページに掲載された内容は、特別な記載がない限り、ページ末尾にも記載されています通り「All right reserved」です。
  • 本講義内容の引用利用時の推奨表記は以下になります。
    「小林只. 第3回オンラインセミナーおよび研究発表のための資料作成術~著作物のライセンス検索技術、著作物性に応じたリライト技術を中心に~ 一般社団法人日本整形内科学研究会(JNOS)第12回ウェビナー. 2020年8月22日. 最終アクセス 〇〇年〇〇月〇〇日」
  • 上記ライセンス利用範囲を超えて、ご利用されたい場合は、利用目的を明確に記載した上でJNOS事務局へお問い合わせ下さい(問い合わせ先)。
  • 学会・研究会などの安全かつ適切な運営のために有効利用されることを期待しておりますが、二次利用に対する責任は利用者が負うものとします。
  • 本講義内容に、解釈不備などが判明した場合は、適宜表示修正致します。

質疑応答[目次]:第12回 JNOSウェビナー[Web Seminar] 

  • 本ウェビナーの質疑応答の動画は非公開となります。
  • 専用フォーラム内でディスカッションの機会を設けております。
  • 当日の質問は以下抜粋:
  • Public domainの解剖イラストが収集されたホームページはありますか?
  • 学校教育におけるサートラス(SARTRAS)との著作権契約の実情と注意点について教えてください。
  • リライトの練習方法などについて教えてください。

入会案内 

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